ノリントンのマーラー9番
ノリントンのマーラーは以前ならおそらく聞く気にならなかったんだろうけど、まあ脂っこいものが美味しいのは若いうちで、年をとると少しサラッーとしたものも良くなる。
1番や4番もかつて聴いたはずなんだけど、脂ののったマーラーが好きなときには、気にもしていなかったので、また探して聞きなおすかな。
- アーティスト: サー・ロジャー・ノリントン,SWRシュトゥットガルト放送交響楽団,マーラー
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ウィーンフィルのコンサートマスターだった、アルノルト・ロゼ(マーラーの義理の弟)がオーディションを受けに来たフリッツ・クライスラーを落としたのは有名な話でその評価のひとつが、ヴィブラートのかけ過ぎだったという。
ノリントンによるクライスラーとロゼのヴィブラートの話は金聖響さんのブログに載っている。
ロゼがクライスラーを採用しなかった話は、Wikipediaにあります。
このノン・ヴィブラートの演奏を今でも聞けるのがそのロゼがコンサートマスターとして録音している、ワルターの1938年のマーラ−9番。
- アーティスト: ブルーノ・ワルター
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- アーティスト: マーラー,ワルター(ブルーノ),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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ノリントンは変わった事をしているわけではなくて、あのワルター/ウィーンフィルの歴史的名盤と同じことをしていることになる。
その点からも、この演奏は一聴の価値ある演奏なのだと言いたい。のですが、まあーバーンスタインや、アダージョの神様カラヤンのレガート奏法を聞いてからノリントンを聴くと、味の薄さは感じざる負えないのは仕方がない。
あとは、ワルターの演奏の1938年という時代背景、ナチスにいろいろな妨害を受けながら演奏していたワルターやロゼの精神的な緊張感に対するこちらの思いが冷静な評価を邪魔してしまうのかもしれないが〜ワルターの娘はナチスに逮捕され、ロゼのバイオリニストの娘アルマ(マーラーの姪にあたる)は後に収容所で死ぬことになる。
第4楽章の演奏時間にしても、1970年代のジュリーニやレヴァイン以来 30分前後の長いアダージョが多いのに対し、ノン・ヴィブラートで演奏すると20分程度になってしまうということなのだろう。
マーラーのイメージしていた9番はノリントンの演奏なのかもしれないということは、マーラーのイメージを少し変えることになるのかもしれない。
参考にしました:
(1)http://opera-ghost.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_a919.html
(2)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%BC
(3)http://www.kanzaki.com/norrington/
今モーストリー・クラシックがシューマン特集(2011年9月号)だったので買ってきて読んでいたら、ノリントンの記事があって(93頁)、ノリントン自身「この曲を初演したブルーノ・ワルター&ウィーン・フィルが1938年に残した名盤がノン・ヴィブラート奏法を忠実に守ったおそらく最後の演奏だと思います。70年の時を経て、ふたたびそれを復活させたのが私たちの演奏なのです(笑い)。」とある。そのとおりだったのね。