ドラマ『白い影』のアダージェット
昨日はなんとなく、DVDで SMAPの中居さんの出演する『白い影』を適当に早回ししながら、何枚か見る。このドラマはマーラーの交響曲第5番の4楽章アダージェットが使用されているので、印象に残っている。
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アダージェットはヴィスコンティが『ベニスに死す』で音楽に使ったのでそのイメージが強いが、「水の都」ベニスでコレラの流行する中での話で、「水」と「死」のイメージがあふれている。一方ドラマは 「河」「湖」「死」、主人公が運河を流れて冬にタンポポの咲く岸辺に流れ着くイメージは、ネットで書かれていたように、トリスタンのアイルランド漂着や アーサー王のアヴァロンへの旅立ちのようで、多分に死のイメージがある。絵画のイメージでは、ミレイの オフィーリアが思い起こされる。
ロダンバックの「死都ブリュージュ」や福永武彦の「廃市」とも通底するのかな。
選曲はそういったことを踏まえているとすれば、知的で面白い。
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廃市/飛ぶ男 (新潮文庫 草 115-3)
ただマーラーのアダージェットのイメージとしてはあまり賛成できない気もするが(この楽章は「死」のイメージではなく、白昼夢のように虚しい感じもあるが交響曲5番の中では「愛」のイメージ)、まあいいか。
マーラーは長い曲ばかりで尺的に昔のSPレコードに向いていたのはこのアダージェットぐらいだから有名になったんじゃないかと思う。昔の演奏ではワルターやメンゲルベルクの演奏が自分のiPodに入っている。
マーラーらしい緩序楽章は、何といっても第3番や第9番の終楽章がその白眉だと思う。
余談(1)ですが、Wikipediaによると「白い影」の田宮二郎版(見てませんが)の脚本は倉本聰で、その倉本聰が一昨年 中井貴一(中井と中居か(^^♪)主演で「風のガーデン」で脚本を担当している。「白い影」はガン告知をしない時代でかつ誇り高い主人公は最後は自殺する。それに対して「風のガーデン」は最後は家族の下で、看取られる。
それぞれの時代の感じ方を示しているようで面白い。
中居くんの「白い影」はその中間のようで、自殺はするが、連ドラのあとに作ったスペシャル版では発病前の長野時代の暖かいドラマが描かれる。
あの長野の暖かい環境があるのであれば、「風のガーデン」の主人公が故郷へ帰ったように、ターミナルケアは彼女に連れられて長野に戻るのが自然ではないだろうか?
まー、若くてかっこいい中居君が演ずる主人公と、40代後半の中井さんの演ずる主人公では当然人生に対する考え方が違ってくるのは仕方がないかな。自分としては年齢的には中井貴一さんだから、「風のガーデン」の方が共感できる。
余談(2)主人公の姓は 直江なんだから 主人公が新潟出身で、ヒロインが北海道出身の方が(ドラマは逆)、面白いなーと思ったりする。
余談(3)竹内結子演じる倫子が、中居さん演じる直江さんに神楽坂のCANAL CAFE についてこんなお店どうして知っているのかって聞いたら、学生時代に何度か来た事があるって。直江さんの大学は北海道でしょ? 遠征で来たのかな。
でマーラーのアダージェットをBGMとして聞くなら、別にどの演奏でもいいと思う。
でも交響曲第5番としては、
暑苦しいですが バーンスタインとテンシュテットだろうな。
バーンスタインの2楽章は痛切である。
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最近の演奏としては、ジンマンとか。
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