『偽りの大化の改新』
- 作者: 中村修也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 新書
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次の簒奪政権であるチューダー王朝で悪者に仕立て上げられたリチャード3世と、天武朝から大化の改新(乙巳の変)を断行した英雄ではあるが、孝徳天皇を都に置き去りにしたり有間皇子を死刑にしたりと冷徹な権力志向者としての天智天皇。
でもこの本では大化の改新にはほとんど中大兄皇子はかかわっていないし、おそらく権力を持っていたのは、孝徳であり、母の斉明であったはずとのこと。同時に中臣鎌足も殆ど活躍しない。
中大兄皇子も中臣鎌足も 天武政権(当然藤原不比等もかかわっているだろうし、天智の娘の持統も係っている)の日本書紀編纂の中ででっち上げられた英雄譚(反英雄譚)ということなのだろう。
表向きは天智は天武の兄貴だから英雄のように描きながら、天武は大友皇子との戦争で政権を簒奪したわけだからその点では天智をある程度悪役としても描きたかった。ややこしいね。その辺のところはリチャード3世のように一面的に悪党に描かれたのとは微妙に違いますが。